武田薬品OB役員の質問状

大阪府大阪市中央区道修町四丁目1番1号
武田薬品工業株式会社
大阪本社法務部        殿   

第138回定時株主総会の事前質問状 

冠省
 私は、貴社株主として、第138回定時株主総会に先立ち、下記の点につき、質問いたします。なお、本内容証明郵便とは別に賛同して共に質問権を行使する株主のリストを貴社に交付致しますので、ご査収ください。下記質問は、それらの株主リスト記載の株主が質問したものとしてお取扱いください。

質問番号1 米国ミレニアムの投資効果及び責任の所在

① 2008年3月にミレニアム社を8800億円で買収したがその後6年が経過した現在において、ミレニアム社単体で、累計で幾らの経常利益があったか回答されたい。
② 8800億円もの投資をしてミレニアム社を買収したが その金額に見合った成果は無くこの投資は失敗であることは明らかであるが、その投資の失敗の原因は誰にあると武田薬品は考えているか回答されたい。
③ 武田薬品として、その投資の責任者の責任を追及する予定があるか否か、あるとしたらいつ、どのように追及するのか、もし責任追及を行わないというのであれば、そのように判断したのは誰か、また責任追及を行なわないとした理由を回答されたい。

質問番号2 スイス・ナイコメッドの投資効果及び責任の所在

① 武田薬品は、2011年3月にナイコメッド社を1兆1800億円という高額で買収したが、そもそもナイコメッド社は誰からの紹介だったのか回答されたい。
② ナイコメッド社の買収金額の妥当性については事前の買収監査を行ったか否か、もし行ったとすれば、いつ、誰からの紹介で、誰に依頼したのか回答されたい。
③ ナイコメッド社買収から、既に3年が経過するが、累計で幾らの経常利益があったか回答されたい。
④ 長谷川社長は、買収時においては、日本人を社長に据えると明言しながら、実際には2013年11月末に急濾スカウトした外国人を社長にすると発表したが、その理由は買収後において十分なコントロールが出来なかったことにあったのか回答されたい。
⑤ 買収後において十分にコントロールが出来なかった責任は、誰にあると武田薬品は考えているか、また、その者に対する責任追及は、いつ、どのような方法で行う のか回答されたい。
⑥ 新薬メーカーによるジェネリック会社の買収は第一三共のインド・ランバークシー社買収の失敗例を待つまでもなく無謀というべき暴挙といっても過言でなく、また同社買収の目的と説明されている発展途上国での販売力獲得についても、ジェネリック医薬品と新薬の販売は異質のものであり、買収効果は殆ど期待できない。多くのアナリストおよびマスコミ報道の指摘にも拘わらず、ナイコメッド社への投資効果および買収後になってきている諸問題について武田薬品の経営陣から納得のできる説明がなされていない。そこで、武田薬品として、投資効果および買収後の諸問題についてどのように考えているのか回答されたい。

質問番号3 グローバル化及び優秀な日本技術者のモチベーション低下

① 日本の企業にとってグローバル化問題は避けて通れない。 しかし、グローバル化とは単に国際的に巨大化することではなく、固有のコアー技術をもって、それをテコに海外展開することであるが、武田薬品の今のやり方は形の上からのみの実態を伴わないグローバル化を急いでいるように見える。武田薬品にとってのグローバル化とはどのようなことと考えているかについて回答されたい。
② 湘南研究所の現状は武田固有のコアー技術が外国人指導者によって完全に破壊され、研究所員は当面のDDR(Drug Development Research)のためにのみ追いまくられ、長年武田の発展を支えてきたコケー技術を担ってきた中核の技術者は非情にも誠首・退職の憂き目にあっている。一方、このところ新規採用による人材補充、将来への布石が充分なされていない。この状況では武田のコアー技術の空洞化を招くとともに、いわゆるリストラによる経費節減を最優先するという欧米式の外国人指導体制によって、研究基盤は荒廃し、日本人研究技術者のモチベーションを著しく低下させている。この現状を武田薬品はどのように考えているのか回答されたい。
③ 今後武田薬品が新規採用を再開しても、英語の一定の能力を採用条件としている現伏では、外国語にそれほど堪能でないという理由だけで、科学的な能力が秀でた研究技術者が武田薬品に入社応募することを敬遠するとう事態が予想される。研究に精力的に長時間打ち込むのが当たり前な学生にとって、一般的には研究と外国語でのコミュニケーション能力を向上させるという二面を同時に両立させるのはかなり厳しい要求であると思われる。長谷川社長は研究技術者に対し、外国語能力と科学的能力のどちらを求めるのか、また、現在のような研究開発体制が、これまで培われた武田イズムを崩壊させると言う研究者の実態に危機感を持っていないように見受けられるが、研究所、研究者についての現状認識と今後の方針並びに見通しについて見解を示されたい。

質問番号4 来年に選任されると公表されている
ウェーバー氏のCEO選任について

①  2014年1月10日の日本経済新聞の「国際再編、成否の分かれ目」という記事によれば、長谷川社長は、ミレニアム社とナイコメッド社についてのM&Aの失敗について「我々に力がなかった」と認めているが、これが来年に選任される予定である外国人であるウェーバー氏のCEO選任につながっているのか回答されたい。
② 200年の歴史をもつ武田薬品は、今日まで日本国の医薬品業界のリーディグ・カンパニーとして業界、経済界に多くの貢献をなし、人々の健康の維持と増進のための国家の重要諸施策の一端を支えてきたことは、多くの人々からも認めていただいている。 もしウェーバー氏が社長になり、更に武田薬品が海外の有力大手医薬品企業等に買収されるような事態になれば、武田薬品、いやむしろ日本国が保有すると言っても過言でない世界水準からみても極めて優良な創薬のコアー技術が喪失、あるいは国外に流失する可能性が現実問題として発生することが極めて憂慮される。これは政府が掲げる成長戦略の一つの柱である医療関連産業に係わる研究の加速という方針に逆行するものといえる。
 加えて、欧米製薬技術に比肩しそれを凌駕するために長年に亘り歴代企業トップによる全面的な支援および断固たる指示の下で育成されてきた医薬品創製のための貴重な武田の技術及び研究者の社外流出あるいは喪失が危惧され、結果的には電器産業大手の二の舞となる恐れがある。
 以上の点を踏まえると、来年に選任されると公表されているウェーバー氏のCEO選任は、いわゆる外資の乗っ取りというべきであり、殊に財務と研究開発を外人COOまたはCEOの主導に任せることは、武田薬品さらには日本国にとっては決して許してはいけないことだと考えるが、この件についての武田薬品の見解を回答されたい

質問番号5 取締役会の形骸化について

① 武田薬品には取締役会とは別に、「グローバル・リーダーシップ・コミッテイー」という機関(以下、「経営幹部会議」という)があるが、その構成メンバーを回答されたい。
② 経営幹部会議の多くが外国人で占められており、重要事項の決定は取締役会ではなくて経営幹部会議で行われ、本来は経営幹部会議の上位機関である取締役会が機能せず形骸化している。この取締役会の形骸化が今回のミレニアム社及びナイコメッドM&Aの巨額の投資を招いた原因ではないかと思うが、その点についての武田薬品の見解を回答されたい。



質問番号6 高配当金支払いの継続について

・現在、配当性向が100%を大きく超えているにも拘わらず、今後2年間は180円配当を継続すると発表されている。その原資は利益だけでは足りず、社債発行等に依存する可能性が高いが、そうなるといわゆるタコ配当を行うことになり、武田が長年維持してきた健全な財務運営を放棄することになり、将来の企業経営に重大な問題をもたらすことが危惧される。今後も、このような資産流失を続けられる予定か、について武田薬品の意見を回答されたい。

質問番号7 米ルイジアナ州陪審員裁判について

① 2014年4月初めに、武田薬品の連結決算内容を明らかにした際、アクトスについて米ルイジアナ州連邦地裁陪審員裁判で武田に60億ドル(約6100億円)、リリーに
 30億ドル(約3050億円)の賠償が報しられたが、武田薬品は、本件を何時の時点で知り、また現状においてどのように対処しているのか回答されたい。
② 仮に巨額の賠償金を支払うという事態になった場合には、その原因を作った者に対しての責任追及が必要だと考えるが、武田薬品としては、誰が責任者であると考えているのか回答されたい。
草々

平成26年4月24日

神奈川県三浦郡葉山町
    株主   OOOOO